植物脂質とバルク同位体組成の測定の際の乾燥方法

植物のバルク安定同位体組成や脂質分子組成は(古)気候学的研究に広く利用されていています。
Suh and Diefendorf (2021) Rapid Commun. Mass Spec. e8900 では、植物試料の乾燥方法の違いが脂質バイオマーカーや葉の安定同位体組成に与える影響について報告しています。
4種の樹木(Acer rubrum, Pinus sylvestris, Platanus occidentalis, Taxodium distichum) の葉を採取し、4種の乾燥方法(自然乾燥、オーブン加熱乾燥、凍結乾燥、電子レンジ乾燥)における葉のワックスやテルペノイドの濃度、炭素と窒素の安定同位体組成を比較することで、用いた乾燥方法の違いは脂質濃度と炭素同位体比に大きな影響を与えないと結論しています。窒素同位体比は一部の種で、オーブン乾燥した葉で0.2~0.7‰程度高く、オーブン乾燥の際に同位体比の低い化合物が失われたためと解釈されています。